2014 01 24

前日はやはり眠れなかった。

ちょうどディズニーリゾートの近くに住んでいたのだが、そこから空港への直通バスが頻繁に運行していた。朝、バスに飛び乗り、羽田空港へと向かった。

 

しんごさん。

 

今回の痛烈なLINEメッセージの送り主だ。

彼には5年前、東京ビッグサイトの通路で出会った。就職活動生向けの合同企業説明会が開催されており、彼はシャツ屋さんのブースを、私はホテルのブースを出していたのだ。

ちょうど斜め向かい同士に位置していた。空き時間中、就活からさほど時間が経っていなかった私は出展企業が気になり、会場を回っていた。

ぐるりと回って、斜め向かいのブースで足が止まる。ブースのつくりがかなり刺激的だった。

外壁一面に書かれた企業の熱い思いと、学生へのメッセージをついつい読み込んでしまう。

その時にブースの中からしんごさんが現れた。

 

「こんにちは。学生さん?」

 

「い、いえ、、違うんです、すみません。斜め向かいでブースを出してまして、、

気になったのでつい、、、」

 

本日のターゲットである学生、ではないと判ってからも彼は飄々と話し続けた。不思議な大人だな、というのが最初の印象。どこの誰かもよく分からない一女子に、シャツの素晴らしさを語り続ける。名刺を交換して、その場を離れた。

 

そこから事あるごとにお会いすることとなる。

彼の存在はもはや社外メンターであった。働き方や組織のありかた、夢を持つこと、人との付き合い方、行動することの強さ、、、ありとあらゆることを時間を割いて教えてくださった。

会っ てくださる度に「なんでこの人は私なんぞに時間を割いてくださるんだろう」とますます不思議が増していった。同時に、この縁を大切にしたいけど、どうやっ てやったら切れずに続けられるのかが分からずモヤモヤしていた。大人とうまく付き合う方法が全くわからなかったのだ。

 

見透かしたようにタイムリーに応援してくださったのも、彼だった。

夢はでっかく!とのことで宇宙兄弟を読みに一緒に漫画喫茶に行った時のこと。

すっかり読みふけっている時に、隣の席に座っているにもかかわらず彼からのメールを受信した。

ちら、と顔を見るも無反応。開封すると、マジックジョンソンの言葉付き長文応援メッセージだった。私があれこれ悩んでいたことを察しての応援。

全部読みきる前にそっと席を立ち、静かにトイレで泣いた。

 

そういう人なのである。何があっても崩れない尊敬があった。

 

羽田に到着し、カフェで落ち合う。

私はここでも自分が勝手に解釈した「どう?」の意味をぐるぐる考えていた。ただの勘違いだったらアホらしい、でももう気持ちがかなり動いていた。

 

「詳細」を聞きたいと伝えていたのだが、「詳細」は全くなかった。

 

「かとちゃん参加してくれたらおもしろいだろうなーと思って。それだけ。」

 

え!以上!?なんとさっぱりした話に拍子抜けしてしまったが、きっとそれに全てが込められていたんだと思う。とりあえず、私の解釈した「どう?」の意味は合っていたらしい。

 

「最速でいつjoinできる?」

 

んーー、複数の上司の顔が一気に浮かぶ。

 

「3末です、かね、、」

 

「OK! 分かった!じゃ、3末で!で、来週福岡来て」

 

早っ

 

モノゴトが始まる時の加速を感じていた。

 

この憧れの方とまさか一緒に働けるとは全く想像もしていなかったので、心底嬉しい半面、身分不相応であるという思いが交錯していた。