2014 03 13 WHITE

最終出勤日まであと2週間

オープンに向けての作戦会議でしんごさんに会った。

少し期間が空いてから会うと必ず
「最近いいことあった?」と聞いてくれる。

基本的に毎日いいことがたくさん起こるので
どの「いいこと」を話そう、と選出するために考えを巡らすこの時間が好きである。

狭くて油臭い渋谷の店で上質のらーめんをすすりながら近況を話し合った。
ぎゅうぎゅうの店内はまだ肌寒いこの時期のせいで不快ではなかった。

しんごさんはもともと東京近辺に住んでいたが、福岡に惚れすぎて(本人談)数年前に移住した。
福岡で自身のビジネスを進めているが、東京でも展開しているため、
ものすごい頻度で行ったり来たりしている。
「距離感のない人間になりたい」とおっしゃっていたのは印象的だった。
遠いからいけない、そこに住んでないから行けない、という理由は彼の中にはほとんどなかった。

場所を変えて、ようやく宿の話に入った。

しばらく会わないと近況を話すことで頭の中が溢れかえり、本題に追いつくまでに時間がかかる。

オープンがもう次のシーズンに迫っていたので、話し合いたい事項がたくさんあった。

口を開こうとすると、しんごさんが先に話し始めた。



「スケジュールが変わりそうなんだ」



おっと



まぁ、予定は未定なので、変更はつきもの。
思い通りにいくことの方が少ないだろうと構えていたので、どう変わりそうなのか気楽に尋ねた。


結論から言うと、開業が半年以上伸びそう、ということだった。
というか意図的に伸ばしたのである。
地域の皆様の理解を得て万全の開業をするための決断であった。
しんごさんは既に福岡に在住なので、現地でのやりとりや交渉などを全て行ってくださっていた。
今回チームに最強のブランディングパーソン大井さんが入るのだが、彼らとの話し合いの末であった。


さて、はりきって3月末で会社を離れる宣言を上司にしてしまったが、
いやはやこの歳になって無職生活に入れるとは。


真っ白だ。


「なんでもできるし、なんにもできない」という、不思議な感情がぐるぐる渦巻いていた。


この日の晩、やりたいことリストの作成は深夜にまで及んだ。